はじめに:才能ある男性に霊感を与えつづけたルー・サロメ 「サロメ」と聞けば、画家ギュスターヴ・モローやビアズリー、カラヴァッジオの絵 作家のアナイス・ニンは、「ルー・サロメ」を「女性の発展史上、測りしれない重要 映画監督リリアーナ・カヴァーニ(『愛の嵐』『ミラレパ』『フランチェスコ』の監督) それではルー・サロメに胚胎した<新しい女性>とは何だったのか、なぜルー・サロ
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ロシア皇帝の宮殿とエルミタージュ美術館近く、ロシア帝国の心臓部に
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己に厳しく、深く考える気質の母の影響 母ルイーズ・フォン・サロメ(旧姓ヴィルム)は、北方ドイツ人とデンマーク人の血 母ルイーズの世代は、娘ルーと異なり、「家庭」こそ女性にふさわしい場所であると |
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幼少期、親密だった父から刻印された男性像 逆に、将軍の父とルーとの心の交流は深くおおきなものがありました。他人からみれ 優しい父のイメージは、ルーの「マインド・ツリー(心の樹)」の”樹根”に刻印さ
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少女時代にいつも感じていた「神」
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ヨーロッパの貴族社会がじょじょに崩れだそうとしているこの時期、ロシアでは依
然、封建制は盤石でした。サロメ家にはとりまきの士官、従僕、園丁、料理人や下
女、召使いたちが数多くいました。ルーにとっては実母のようにルーを可愛がるロシ
ア女の乳母が一番身近で、ロシア(民衆)に対するルーの愛は、この乳母からを受け
継いだといいます(ルー・サロメには『祖国ーロシアの思い出』という著書がある)。フラ
ンス語の女家庭教師は好きになれませんでした。
召使いたちも各々ギリシア正教会やロシア正教会、イスラム教に属していたように、
神はちがえどロシアは信仰に生き人たちに満ちていました。サロメ家も信仰篤く、
ルーの少女時代は「神」はすぐ傍らに存在していたのです。夜、ルーが語りかける
と、「神」はいつも、暗闇の中で黙って頷いてくれているようにルーには感じたので
す(話をした時もあったといいます)。兄たちがいじめたと訴えた時も、いろんな物語
をルーがつくった時も、「神」は聴いてくれたといいます。
ところがある時から(ある召使いが「雪だるま夫婦」の話をルーにした時)、「神」が何
も返事をしてくれなくなり、ルーの心の裡に恐ろしい考えが浮かんできたといいま
す。「神は存在しないのではないか」と。
それ以降、神を信じる両親にも内緒に、ルーはずっと神なき世界にひとり取り残さ
れてしまったといいます。ルー・サロメが生涯を通じて思考し自身につきつけたの
は、あの<幼年期の神>の神秘であり、”再発見”だったのです。
ルー・サロメが、ニーチェ、リルケ、フロイトをはじめとす多くの知性と出会い、
話し合い、著したのは、ルー自身の「マインド・ツリー」の根源に産み落とされた
おおいなる”問い”への接近だったのです。
▶(2)に続く-未